本留学プログラムは、現代アジアにおける諸問題解決をテーマとして、アジアの4大学(早稲田大学、北京大学、高麗大学校、南洋理工大学)が手を取り合い、多様な社会が直面している様々な課題に対してポジティブな変革を創出することができる人材(ソーシャルイノベータ―)の共同育成を目的とするプログラムです。
現代社会は、気候変動、人口、貧困など様々な問題や危機に直面しています。とりわけアジアにおいては、地域ごとの特徴、自然災害、宗教、歴史、民族、政治体制が多様であり、価値観、利害関係、格差などのコンフリクトが存在します。
特に世界規模の新型コロナウイルス感染症の拡大は、科学技術、医療、人間の生活や移動などに影響を与え、経済や企業活動は内在化し、国際関係は自己文化中心主義に傾倒しているといえます。その結果、価値観・習慣など各国・地域の持つ固有の文化間の対話の断絶が色濃く浮き彫りになったともいえるのではないでしょうか。
現代の人材の流動性が高いアジア社会におけるグローバル化の文脈において、とくにポストコロナ時代の社会経済の復興と持続可能な未来のあり方を見据え、日中韓3カ国にくわえて、東南アジア地域も含めたネットワークとプラットフォームの仕組づくりが必要であると考えます。個人、家族、社会組織、コミュニティ、政府、国際社会の多層レベルのあり方や関係性について根本的な再考および変容が求められています。
本留学プログラムでは、アジアの4大学(早稲田大学、北京大学、高麗大学校、南洋理工大学)が理念を共にし、社会にポジティブな変革を起こすことができるソーシャルイノベーターの育成を目指します。
ポストコロナ時代においてソーシャルイノベーターに求められる能力は「文化的知性」であると考えます。本留学プログラムタイトルにも使われている「文化的知性」とは、異なる文化的地域の他の人々と相互作用する際の適応能力を意味します。具体的には、異文化理解力、文明間対話を促進する受容力や、新たな仕組み提案・主導する力などです。
また、「文明間対話」の視点と手法を用いて社会問題を解決に結び付けられる人材の育成を目指すことも目的としていますが、具体的に「文明間対話」とは、東西(精神、規範、言説等)の違い、文化間(国・地方の価値観、習慣、行動等)の違いを踏まえて、各国・地域がどのような歴史的コンテキストでどのような発展を遂げてきたのか等を理解し、今後進むべき道を協同探究(調査研究・議論・提言・実装)し、解決方法に繋げることを指します。
本プログラムでは、
- 協定大学への留学とプログラム指定科目群の履修
- 学生が個人でテーマを定めて取り組む探究学習としての「ソーシャルイノベーションプロジェクト」
- 各大学の学生たちが実際に集うオープン交流プログラム「ソーシャルイノベーションフォーラム」
の3つの教育の軸を想定しています。
長いようで短い大学生活、みなさんが本プログラムに参加し、アジア社会を牽引するソーシャルイノベーターとして活躍することを期待しています。